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クローン病と診断されて、今後が不安な人へまず伝えたい4つのこと

自分自身がクローン病と診断された時のことを振り返ると、

「検査の結果、やはり難病のクローン病でした…」

と主治医に言われた約10年前の秋。
そこから何日間か、入院しているベッドの上で、ケータイでクローン病について調べましたが、どんな病気なのか知るにつれて、精神的に落ちていきました。

「自分の人生、終わったのかな…」と。

10年前はSNSも今ほど当たり前ではなくて一部の人がやってるくらいだったので、よく調べていたのはクローン病患者さんのブログでした。

どんな生活してるんだろう、どんな症状なんだろう、と気になって読んでみるものの、「みんなめちゃくちゃ大変そうやん…」というのが、正直な印象でした。

そんなところから自分のクローン病患者としての生活が始まり、10年経ちました。

10年の間に、色んな体調の変化や生活の変化を経験してきて、その中でわかったことや気づいたことがたくさんありました。

そこでそんな今の自分から10年前の自分、そしてクローン病と診断されたばかりのあなたに伝えたいことがあります。

今まさに「クローン病」「難病」という診断にショックを受けて希望が持てないのだとしたら、10年先輩の僕から「大丈夫だよ」という思いも込めて、4つのことを伝えたいと思います。

①人によって症状や経過は全然違うから、あなたが重い症状になるかなんてわからない

まず最初の伝えたいことは、「クローン病といっても人によって症状や経過は全然違うから、あなたが重い症状になるかなんてわからない」ってことです。

「あなたは難病です、クローン病です」と聞いて、今はショックを受けてるかもしれません。

僕自身がそうでした。診断を受けた時、「難病」「クローン病」についての説明を受けて、この先の未来はもう真っ暗だと思いました。

特に、この先クローン病患者であるともしかしたらこういうことがありますよ、と次の言葉を聞かされました。

「手術」
「人工肛門」
「腸閉塞」
「厳しい食事制限」

こうした言葉は、ハタチ過ぎの若者に絶望感を与えるには十分な力がありすぎました。

ネットでもクローン病について調べては、そんな言葉を見たり聞いたりするたびに、恐怖と不安でいっぱいでした。

でも、10年間クローン病患者としてやってきて、そして色んなクローン病患者さんと交流してわかったこと。

それはクローン病と一言で言っても患者さんによって全然症状の程度が違うんです。

僕はこれまで10人以上のクローン病患者さんと会ってお話ししたり、SNSではもっとたくさんのクローン病患者さんとやりとりしました。

直接お会いしてお話しした中で一番軽症な方だと、病院にすらほとんど行っていなくて、食事制限も特定疾患の申請すらもしていない、という方がいました。
うらやましい限りです…。

逆に症状が重い方だと、「毎年入院している」とか、「数回手術している」とか、「食事をほとんど摂れず点滴メインで生活している」、という話も聞いたことがあります。

「あ、この人とわりと症状が似ているかな」という人でも食事制限で気をつける食材などは違ったりもします。

僕はこれ食べても大丈夫、ってものが、他の人は駄目だったり。

本当に色々です。

クローン病と診断されて、病院の先生からクローン病についてのひと通りの説明は受けたかと思います。

ご自身でも色々ネットなどで調べて、クローン病って色んな症状があることも知ったかもしれません。

そして不安になっているかもしれません。

でも必ずしもそれがすべてではない、必ずそうなる、というものではありません。
手術してない、人工肛門じゃない、食事制限も軽めというクローン病患者さんも全然います。
もちろんその逆の人もいますが。

病院の先生は脅かすようなことを言いがち説

自分の経験だと、病院の先生ってわりと深刻な例、悪くなった時のことを例に出して説明することが多いように思います…。

僕が診断されたばかりの時に担当医からの説明の中で

「過去の患者さんで腸と尿の器官が炎症でつながって、おしっこした時に食事で食べた人参が出てきた人がいました。そうなったら大変ですよね。だからちゃんと症状をコントロールしていきましょう。」と言われました。

難病を診断されたばかりの学生にそんな恐ろしいこと言うなよ!と今なら全力で突っ込みたくなりますが、その当時の僕は

「こわい…あそこからにんじん!?⁉こわいこわいこわい」

と不安を煽られるばかりでした。先生からしたら事実そういう人がいたし、そうならないようにということで、言ってくれたことかと思いますが、それからしばらくは「あそこからにんじん」っていうシーンが頭の中でグルグル。

おしっこする時も、にんじんが出てくる想像をして怖かったりもしました(笑)

でもそんな人は本当にいても一部だろうし、実際には「にんじん出たことあります」なんて聞いたことありません。
(あっても言わないかw)

今のあなたの症状がどのくらいかわかりませんが、必要以上に深刻になって、怖がって、悲観する必要はありませんよ。

診断されたばかりの現時点で、そこまで体調がしんどくないのであれば、薬や生活管理でうまくコントロールしていける可能性は高いです。

仮に現時点で体調的に結構しんどくても、あなたに合った薬や治療方法、生活環境のペースが掴めれば、寛解を長く維持していける可能性は十分あります。

クローン病は確実にこうなるって決まった経過があるわけではありません。

食事制限にしても、クローン病の食事療法について食べて良いものダメなものに関する情報がありますが、自分にどういう食事や生活が合っているのかも人によって違います。
少しずつ自分で探りながらうまく病気と折り合いをつけられるポイントを探していくのが良いと思います。

②確実に医療は進歩している

クローン病の人が一番気になっているのが
「根本的な治療法は見つかるのか」
「いつ完治できるようになるのか」
だと思います。
「難病」「治らない」ってワードも、めちゃくちゃショックですもんね。

クローン病は現時点では完治する方法はありません。
長く、症状を抑えられるようにすることが治療の目標です。
でも医療は確実に進歩していて、治ることも近づいているのは確かです。

僕が診断された10年前は、「クローン病のメカニズムがわかってきた」とか「炎症を抑える新薬につながるかもしれない研究成果」といったニュースをたまに見かけるようになりました。
なんで炎症が起きるのかわからなかったのが、だんたん自己免疫によるものだというのがわかってきた段階でした。

でも10年経った最近だとこんな記事が。

この記事によると

炎症性サイトカインを抑えることが知られているマイクロRNAの全身投与によって炎症性腸疾患(IBD)を罹患したマウスの治療に成功したと発表した。

ということで、マウス段階で治療に成功…。
これを見ただけで、長年クローン病をやってきている人間としては踊りだしたくなりますw

治療薬、治療方法を見ても、どんどん新しい種類、選択肢の可能性が増えています。

クローン病患者の間ではレミケードという点滴治療薬はかなり症状を抑えられるということで知られていますし、これが登場して多くの患者さんが症状を抑えて過ごせる時間が長くなってきたのは間違いないと思います。

単に新薬開発だけが進歩ではありません。
僕が診断された10年前だと、点滴治療薬のレミケードが多く使われ始めたくらいだったと思います。
(2002年発売開始。僕が初めて使ったのが2007年頃)

当時はレミケードを継続して利用することができないルールで、3回打ったらストップしないといけませんでした。

でもその数年後には継続利用できる認可がされて、2カ月に1回打てるようになりました。
さらにその後、1ヶ月間スパンでの投薬が可能になったり、細かいことですが、2時間かけて投薬していたのが1時間になったりと、患者としても助かる形で、投薬の仕方が進んできました。

その間にも新薬ヒュミラ(2008年発売開始)も出ましたし、実用にはいたってませんが、色んな研究発表の報道を時々目にします。

検査方法にしても進化しているのは間違いありません。

以前は患者数も少なく、有効な薬も少なかったのですが、患者数が増えるにしたがって研究が日々進んでいます。
これまでの患者のデータなどを見ると、病気の悪化や手術など不安になるかもしれません。

でも10年前20年前にクローン病になった人と、今クローン病になった人とでは、治療の質が違うので、当然昔より症状を軽く抑えやすくなっていると言えます。
完治がいつ頃というのは現時点ではわかりませんが、近づいているとは言えますので、希望を持っていきましょう。

③油断するな!でも、必要以上に自分を追い込むな!ほどほどに、ぼちぼち付き合っていこう

とはいえ、「自分はおそらく軽い方だろう」「そのうち治せる薬が出るだろう」って油断して良いはずないわけで。

クローン病でしんどい思いをしたくなければ、「うまく付き合う」これに尽きます。

食事制限しすぎてストレスになってそれで体調を崩しても良くないし、逆に体調を崩すほど食事を制限しないのも良くない。
クローン病だからといって、やりたいこを色々諦めてしんどい思いをする必要もないし、逆にクローン病なんて関係ねぇ!やりたいことやりたいんだよ~!ってのはまぁ止はしませんし、それでもやりたいことがあるのは本当に素晴らしいことですが、無茶しすぎると後々しんどいかもしれませんよ、とは思ったりもします。。。

どっちやねん、という話ですが、もしあなたが「もうクローン病だから色んなことを制限しないといけない、あれもできない、これもできない、あれも食べられない、これも食べられない」と制限の枠の中に自分を押し込んで、悲観しているのであれば、

「ちょっと待った!もちろん無茶はできないこともあるけど、そんなに深刻に考えなくても良いかもよ!意外と大丈夫だったりすることもあるんだよ~」なんて僕からは言ってあげたくなります。

そのちょうどいい自分の心やからだとの折り合いをつけるところを見つけるのに時間がかかったりもしますし、10年経った僕も今でも探ったりもしていますが、少しずつわかってきますので、いきなり、すべてに×を出して「制限しないといけない」でとらわれてほしくないなと思います。

④あなたに情報が入ってこないだけで、クローン病だけど普通に生活してる人はめっちゃたくさんいる

上に書いたほとんど食事制限もしてない、という人はかなり珍しい例ですが、それでも多くのクローン病患者は定期的に通院はしながらも、なんとな~く適度に食事制限をして、仕事をして過ごしています。
(いつもガチガチに食事制限している人もいるけど、ゆる~くしてる人も多い)

クローン病に限らず、病気ってなると深刻に捉えたり、マイナス思考になるのって普通だと思うんです。
それで、ネガティブな情報をたくさん取り入れてしまいがちになります。

それにネット上で病気の情報を発信してる人って、症状が軽い人って基本いません。
ネット(SNSやブログ)で病気を公表してたり、情報発信している人って、自分も病気の情報が欲しいとか、家族や友達に言えないしんどい思いを同じ病気の人に分かってほしいとか、そうした理由でやってることが多いです。
ネットじゃなくても患者会といったリアルな集まりの場・交流の機会に出てくるのも、そうした理由が多いです。

逆に症状が軽くてそんなふうに困っていない人は、当然情報もそこまで必要ないし、しんどい思いをすることも少ないから共感してもらう必要もありません。
病院の先生と会う機会も少ないから先生の記憶からも薄れがち。
だからクローン病患者としての存在感がほとんどありません。

でも、実際社会の中には、そういうクローン病患者さんもいますからね。

今はクローン病と診断されて、辛い気持ちかもしれませんが、体調をうまくコントロールすれば、多少の制限はあっても、あなたが今思っているような、「人生終わった」と絶望するような未来になることはないですよと、クローン病の10年先輩から伝えたいのです。

一緒にぼちぼちと折り合いをつけながらクローン病とうまくやっていきましょう。

当ブログを運営しています。30代後半。 ゲーム、PC、自動車、その他色々と日常生活で気になったことをまとめています。

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